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JACSIS/JASTIS研究の取り扱いガイド
田淵貴大先生をはじめとする東北大学のメンバーで、JACSIS/JASTIS 研究の取り扱いガイドを作成しました。重み付け、adjusted rate、ATE/ATT/ATU、PAF/PARP の考え方を、10本の論文に沿って整理しています。
- 調査の全体像をつかむ
JACSIS と JASTIS のプロファイル論文(論文3a・3b)を読み、設計、対象者、調査波、重み付けの基礎を把握する。JACSIS の補足資料にある重み付けの手順も確認する。 - 基本的な方法論を学ぶ
論文1で縦断解析・GEE・脱落の補正・層別解析の流れと Figure 1・2 による層別の結果の示し方を、論文2でコホート研究の Methods の記述方法を、論文3c の補足資料で JACSIS における重み付けの適用を確認する。 - adjusted rate と因果推論を理解する
論文4で重み付けと adjusted rate の実例を確認する。ガイド本文の4章と5章を参照し、adjusted rate、ATE、ATT、ATU がそれぞれ何を平均し、どの集団への推定であるかを整理する。 - 応用的な視点を身につける
論文5で PAF/PARP、論文6で受動喫煙を含めた評価、論文7で格差の時間軸、論文8で公衆衛生と臨床の問いの違いを整理する。
| 番号 | 論文 | 読む理由 |
|---|---|---|
| 論文3a | JACSISプロファイル論文 (このサイトで見る) | 調査の設計、調査波、対象者、重み付けの基礎を整理した論文。個別論文の前に通読し、補足資料の重み付け手順まで確認する。 |
| 論文3b | JASTISプロファイル論文 (このサイトで見る) | JASTIS のコホート構成と追跡の設計を説明した論文。JACSIS 以前から続くタバコ研究の経緯を把握できる。 |
| 論文3c | Go To Travel と COVID-19 (このサイトで見る) | JACSIS を用いた全国推定における重み付けの実装を、補足資料を含めて確認できる。 |
| 論文4 | 電子タバコ・加熱式タバコの認知と使用 (このサイトで見る) | 横断時点の代表性の補正、追跡時の分布の補正、回答割合の解釈を一連の手順で確認できる。 |
| 論文1 | タバコ値上げと喫煙行動の変化 | 縦断解析、GEE、脱落の補正、社会経済層別の分析手順に加え、全下位集団の結果を表とフォレストプロットで1枚に示した Figure 1・2 から、層別解析の示し方を学べる。 |
| 論文2 | 親の喫煙と子どもの受動喫煙関連疾患 | アウトカムが高頻度である場合のモデル選択と、非回答の補正を Methods および補足資料に記載する際の実例。 |
| 論文5 | 親の喫煙と子どもの喘息 | PAF/PARP の算出により、関連の有無だけでなく公衆衛生上の影響の大きさを示す手法の実例。 |
| 論文6 | 受動喫煙と死亡への影響 | 能動喫煙のみでは捉えられない影響を、受動喫煙まで含めて評価する手法を示している。 |
| 論文7 | タバコ対策と社会経済格差のレビュー | 格差を同一の尺度と時間軸で評価し、JACSIS/JASTIS の研究群を位置づける視点を整理している。 |
| 論文8 | がんサバイバーの喫煙と二次がんリスク | 同じデータでも、参照カテゴリーの置き方によって予防の論文にも臨床の論文にもなることを示している。 |
ガイドの全文を読む
JACSIS/JASTIS研究の取り扱いガイド
1. はじめに
本ガイドは、JACSIS(Japan COVID-19 and Society Internet Survey)およびJASTIS(Japan Society and New Tobacco Internet Survey)を用いた研究を扱う際に、研究の全体像と主要な方法論を確認するための文書である。
JACSIS/JASTISのデータはインターネット調査に基づいており、そのまま使うと日本全体の代表性を持たない。そのため重み付け(ウェイト)による補正が不可欠である。さらに、論文を正しく読み、自分の研究に活用するには、adjusted rate(調整済み割合)やATE/ATT/ATUといった因果推論の枠組みを理解しておく必要がある。
本ガイドは、東北大学内で積み重ねられてきた議論を踏まえ、8本の代表論文とその補足資料を中心に、JACSIS/JASTIS研究を進めるうえで押さえておきたい知識を整理したものである。
ここで扱う8本は、よく引用される論文を単に並べたものではない。論文1は縦断解析と層別解析、論文3cと4は重み付け、論文5と6はPAF/PARP、論文7は格差の時間軸、論文8は公衆衛生と臨床の問いの違いを学ぶために選んでいる。新しいテーマに入るときは、自分の研究課題がこのどの型に近いかを先に考えると読み進めやすい。
本ガイドで特に強調したいのは、JACSIS/JASTISの論文は主結果だけを追っても十分には読めないという点である。重み付けをどうかけたのか、どの集団を推定対象にしているのか、補足資料でどの表を確認すべきかまで含めて読んではじめて、次の研究に使える理解になる。研究に入る側は、結果をなぞるより先に、「この論文は何を標準形として示しているのか」を見る方が大事である。
2. JACSIS/JASTISとは何か
2.1 JASTISの概要
JASTIS(ジャスティス)の正式名称は "Japan Society and New Tobacco Internet Survey" である。加熱式タバコ(heated tobacco products)、電子タバコ(electronic cigarettes)、従来型タバコ(conventional tobacco products)の使用実態を追跡するために設計された、日本初の縦断的インターネットコホート研究である。
JASTISのプロファイル論文(Tabuchi et al., Journal of Epidemiology, 2019)によると、JASTISは以下の特徴を持つ。
- 開始時期: 2015年にベースライン調査を実施
- 対象者: 日本在住の16〜69歳のインターネットモニター(楽天インサイト社のパネルを利用)
- コホート構成: 2015年にベースライン3コホート、2017年に追加1コホートが構築され、合計約11,152人がベースラインに参加
- 追跡: 年1回のフォローアップ調査を実施し、2019年時点で4波の調査が完了(追跡率はWave 2で65.5%、Wave 4で50.9%)
- 焦点: 加熱式タバコ(IQOS、Ploom、gloなど)の認知・使用・健康影響が主要な研究テーマ
- 重み付け: IPW(後述)による非回答補正に加え、社会人口学的要因と健康要因を用いた追加調整を実施
JASTISはJACSISより先に始まっており、日本の加熱式タバコ研究の基盤になっている。
2.2 JACSISの概要
JACSIS(ジャクシス)の正式名称は "Japan COVID-19 and Society Internet Survey" である。COVID-19パンデミックが日本社会に与えた影響をはじめ、社会生活全般を多角的に調査するために設計された大規模インターネット調査である。
JACSISのプロファイル論文(Someko et al., International Journal of Epidemiology, 2026)によると、JACSISは以下の特徴を持つ。
- 開始時期: 2020年8月に調査の第1波を実施
- 対象者: 日本在住の16〜79歳のインターネットモニター(楽天インサイト社のパネルを利用)
- 調査波: 2020年から年1回実施(2020〜2023年は8〜11月、2024年以降は12月〜翌年2月)。プロファイル論文では、JACSIS参加者も回答した2月前後のJASTIS調査を合わせて、2024年2月までに計8波と数えている
- サンプルサイズ: 各波の回答者数は約28,000〜33,000人(JACSIS公式ページ)。プロファイル論文によると、2024年2月までの8波にわたるユニークな参加者数は合計74,003人
- 設計: 性別・年齢階級・都道府県の3軸で層別抽出を行い、新規参加者と継続参加者を組み合わせたデザイン
- 測定項目: COVID-19の感染状況、ワクチン接種、精神的健康、生活習慣(喫煙・飲酒・身体活動)、社会経済的状況、受診行動など多岐にわたる
2.3 JACSISとJASTISの違いと関係
JACSISとJASTISは、いずれも楽天インサイト社のインターネットパネルを利用した大規模調査であるが、以下の点で異なる。
| 項目 | JASTIS | JACSIS |
|---|---|---|
| 開始年 | 2015年 | 2020年 |
| 主な研究テーマ | 加熱式タバコ・電子タバコ・従来型タバコ | COVID-19と社会全般 |
| 対象年齢 | 16〜69歳 | 16〜79歳 |
| 調査頻度 | 年1回 | 年1回 |
| 1波あたりのサンプル | 約9,000〜11,000人 2021年調査からは約3万人 | 約28,000〜33,000人 |
| コホート設計 | 追跡重視(同一対象者の縦断追跡)+新規追加のハイブリッド | 追跡重視(同一対象者の縦断追跡)+新規追加のハイブリッド |
両者は共通のインフラ(楽天インサイト社のパネル)を使っており、共通のIDでJACSISとJASTISのデータを統合できる。現在、JASTISとJACSISは一体として運営されている。
両調査ともインターネット調査であるため、回答者の属性分布は日本全体の人口分布と一致しない。したがって、日本全体の推定値を報告する際には、重み付けによる補正が必要になる。重み付けの考え方は次章で説明する。
3. まず押さえるべき方法論
JACSIS/JASTIS研究の論文を読む前に、以下の基本的な方法論の用語と概念を理解しておく必要がある。
3.1 研究デザインの基本用語
縦断研究(longitudinal study) とは、同じ対象者を複数の時点にわたって追跡する研究デザインである。ある時点での曝露(たとえば喫煙状況)が、その後のアウトカム(たとえば禁煙や疾病発症)とどう関連するかを調べることができる。JACSIS/JASTISはいずれも複数波の調査を行っており、縦断的な解析が可能である。
横断研究(cross-sectional study) とは、ある一時点のデータを用いて、曝露とアウトカムの関連を調べる研究デザインである。時間的な前後関係を直接示せないため、因果関係の主張には限界があるが、ある時点での有病率や関連の強さを評価するのに適している。JACSISの各波を単独で解析する場合は横断研究として扱われる。
コホート研究(cohort study) とは、ある集団(コホート)を定義し、曝露状況に応じて追跡し、アウトカムの発生を比較する研究デザインである。前向きコホート(prospective cohort)はベースラインから将来に向けて追跡し、後ろ向きコホート(retrospective cohort)は過去の記録を遡って追跡する。
オッズ比(odds ratio; OR) とは、ある曝露群と非曝露群の間でアウトカムが起こる「オッズ」の比である。オッズとは「起こる確率÷起こらない確率」のことで、たとえば喫煙者の禁煙オッズが非喫煙者の2倍であれば、OR = 2.0 となる。ロジスティック回帰分析の基本的な効果指標であり、JACSIS/JASTISの多くの論文で使用されている。ただし、アウトカムの頻度が高い場合(おおむね10%を超える場合)には、ORはリスク比(risk ratio)と乖離しやすくなるため、解釈に注意が必要である。そのような場面では、論文2のMethodsにあるように、log-binomial regressionでPRを推定し、収束しない場合はlog-Poisson regressionを使うという選択を最初から検討した方がよい。
3.2 IPW(逆確率重み付け)の基本
IPW(Inverse Probability Weighting; 逆確率重み付け) とは、観察データにおける属性分布の偏りを補正するための統計手法である。「調査に参加しにくい属性を持つ人」のデータに大きな重みを、「参加しやすい属性を持つ人」のデータに小さな重みを付け、偏りのない集団から得られたデータに近づけて扱うというのが基本的な考え方である。
JACSIS/JASTISにおけるIPWの役割は、主に以下の2つである。
3.2.1 調査代表性の確保のための重み付け
インターネット調査の回答者には、日本の一般人口と比べて、高学歴、高所得、喫煙率が低い、持ち家率が低いといった偏りを持つ傾向がある。JACSISのプロファイル論文およびその補足資料によれば、この偏りを補正するために以下の手法が用いられている。
1. 参照集団: 2016年の国民生活基礎調査(Comprehensive Survey of Living Conditions; CSLC)を日本全体の代表集団とする 2. 傾向スコアの算出: インターネット調査の回答者と国民生活基礎調査のデータをプールし、「インターネット調査の回答者である確率」をロジスティック回帰で推定する 3. 層別化: 性別 × 年齢階級(16〜19歳、20〜29歳、…、70〜79歳)の14層に分けて、各層ごとに傾向スコアを計算する 4. 重み付けに用いる共変量: 居住地域、婚姻状態、学歴、持ち家の有無、自覚的健康度、喫煙状態(16〜19歳の場合は婚姻状態と喫煙状態を除く) 5. 標準化: 重みを標準化して、重み付け後の総回答者数がもとの回答者数と一致するようにする
この重み付けにより、JACSISの回答者分布が国民生活基礎調査に近づき、日本全体の推定値として報告できるようになる。
3.2.2 追跡調査での非回答補正
縦断研究では、追跡のたびに一部の回答者が脱落する。脱落が特定の属性と関連している場合(たとえば喫煙者は脱落しやすい)、残った回答者だけで分析すると結果に偏りが生じる。IPWはこの問題にも使われる。各波における回答確率を予測し、その逆数を重みとして付与することで、脱落による偏りを補正する。
論文1(Tabuchi et al., Tobacco Control, 2017)では、各調査波ごとにロジスティック回帰モデルを用いて脱落確率を推定し、IPWを波ごとに乗算して最終的な重みを算出している。この手法により、MAR(Missing At Random; ランダム欠測)の仮定のもとで、脱落の影響を軽減した推定が可能となる。
3.2.3 重み付けが必要な場合とそうでない場合
重み付けの適用場面は研究の目的によって異なる。
- 日本全体の代表推定値を報告する場合: 重み付けが必要である。たとえば「日本人の加熱式タバコ使用率は何%か」という問いに答える場合、重み付けなしでは正確な推定ができない。
- 変数間の関連を調べる場合: 必ずしも重み付けは必要ではない。たとえば「喫煙状況と精神的健康の関連は?」という問いであれば、サンプル内での関連を調べることに意味がある。ただし実際には、重み付けした結果を主分析として示し、重み付けなしの結果を補足資料に示すことが多い。
3.3 PAF/PAR/PARP の考え方
PAF(Population Attributable Fraction; 人口寄与割合) とは、ある曝露(たとえば喫煙)が完全になくなった場合に、集団全体でアウトカム(たとえば喘息)がどれだけ減少するかを示す指標である。PAFは「この曝露がなければ、アウトカムの何%が防げたか」という問いに答えるもので、政策の優先順位を考える際に重要な数値である。
PAR(Population Attributable Risk; 人口寄与リスク) は、PAFと関連する概念で、曝露がなくなった場合に防げるアウトカムの絶対数を表す。
PARP(Population Attributable Risk Percent; 人口寄与リスク割合) は、PAFと類似した指標であり、論文によってはPAFと同義で用いられることもある。論文5(Tabuchi et al., Drug and Alcohol Dependence, 2015)では、タバコ対策の視点(tobacco control perspective)と臨床的視点(clinical perspective)の両方からPARPを計算しており、以下の式を用いている。
PARPi = Pi × (RRi − RRno) / (1 × RRno + Pi × (RRi − RRno))
ここで、Pi は集団内での曝露カテゴリー i の割合、RRi は調整済みオッズ比から近似したリスク比、RRno は非曝露群のリスク比(=1)である。
PAF/PARPは分析の段階でいったん計算しておき、論文に載せるかどうかは後で判断するのがよい。割合だけでなく対象人数まで示すと、その曝露が集団全体に及ぼす影響を読み手に伝えやすい。
4. adjusted rateと重み付けの読み方
4.1 adjusted rateとは何か
adjusted rate(調整済み割合) とは、共変量(年齢、性別、社会経済的要因など)の影響を統計的に調整したうえで算出された、曝露群・非曝露群それぞれの「アウトカムが起こる割合」のことである。
通常のロジスティック回帰分析では、結果としてオッズ比が得られる。オッズ比は相対的な効果の大きさを示すが、「実際に何%の人に影響があるか」という絶対的な値は直接わからない。たとえば「Go To Travel参加者は発熱のオッズが1.83倍」と言われても、それが人口の何%に相当するのかは別途計算しなければわからない。adjusted rateはこの「実際の割合」を示す指標であり、政策的な解釈や一般への伝達ではオッズ比よりも有用な場合がある。
4.2 adjusted rateの計算方法
adjusted rateの計算方法は、以下の3ステップで整理できる。
ステップ1:回帰モデルの推定
まず、ロジスティック回帰モデル(二値アウトカムの場合)を推定し、各変数の係数を得る。
ステップ2:全員の曝露を揃えて予測値を計算
次に、データセット内の全員について、以下の2通りの予測を行う。
- 曝露ありの場合: 全員の曝露変数を「1(曝露あり)」に設定し、それ以外の共変量はその人の実際の値を保持したまま、モデルから予測確率を算出する。全員の予測確率の平均を取ると、それが「曝露ありの調整済み割合」となる。
- 曝露なしの場合: 全員の曝露変数を「0(曝露なし)」に設定し、同様に予測確率の平均を取る。これが「曝露なしの調整済み割合」となる。
この操作で計算しているのは、「共変量の分布を実際の集団のまま保ったうえで、曝露だけを全員同じ値に揃えたら、アウトカムの予測値はどうなるか」である。
ステップ3:差や比を算出
2つの調整済み割合の差が「調整済みリスク差(adjusted risk difference)」であり、比が「調整済みリスク比(adjusted risk ratio)」となる。
4.3 具体例:Go To Travel論文での適用
論文3c(Miyawaki et al., BMJ Open, 2021)は、Go To Travelキャンペーン参加とCOVID-19様症状の関連を横断研究として調べた論文である。この論文の主題はGo To Travelの健康影響であり、重み付け手法の開発ではない。本ガイドではこの論文を、JACSISにおける重み付きの全国推定の実例として参照する。
この論文では、JACSISの2020年第1波データ(25,482人)を用い、以下の手順で全国推定を行っている。
1. JACSISの回答者と2016年国民生活基礎調査のデータをプールする 2. 性別 × 年齢階級の14層ごとにロジスティック回帰を実行し、「インターネット調査の回答者である確率」(傾向スコア)を推定する 3. 傾向スコアの逆数を重みとし、標準化したうえで解析に適用する
重み付けに用いた変数は、居住地域、婚姻状態、学歴、持ち家の有無、自覚的健康度、喫煙状態(20〜79歳)である。16〜19歳については婚姻状態と喫煙状態を除外している。
- 粗割合(crude rate): Go To Travel参加者の発熱症状 9.9% 対 非参加者 2.9%(差 = 7.0ポイント)
- 調整済み割合: 参加者 4.7% 対 非参加者 3.7%(差 = 1.0ポイント)
粗割合で7.0ポイントあった差は、年齢、性別、社会経済的要因、都道府県などを調整すると1.0ポイントに縮小する。論文では、この1.0ポイントの差を、交絡要因を除いた後の「より因果的に解釈可能な効果」として提示している。
4.4 論文4での追跡率補正としての重み付け
論文4(Tabuchi et al., Addiction, 2016)は、電子タバコと加熱式タバコの認知・使用率を調査した論文である。この論文では、2015年のインターネット調査データ(9,055人)に対して、2010年国民生活基礎調査を参照集団としたIPWによる重み付けが適用されている。
補足資料(Supplement)には重み付け前後の属性分布の比較が示されており、重み付けによって以下の偏りが軽減されたことが確認されている。
- 持ち家率の標準化差(Standardized Difference)が44%縮小
- 学歴の偏りが27%縮小
- 現在喫煙率の偏りが12%縮小
- 自覚的健康度の偏りが89%縮小
重み付け後の推定値では、日本全体の加熱式タバコ認知率を48.0%(95%CI: 46.9–49.1)、使用経験率を6.60%(95%CI: 6.06–7.13)としている。
さらに、JASTISの縦断データを用いたフォローアップ調査では、追跡時の回答者分布をベースライン時点の分布に近づけるための重みが用いられている。論文本文にも "Distribution of respondents in follow-up surveys was adjusted close to baseline distribution using weights" と明記されている。この補正により、追跡調査での選択的脱落の影響を軽減している。
4.5 adjusted rateとオッズ比の関係
- ロジスティック回帰から得られるオッズ比は「条件付き効果(conditional effect)」であり、共変量を固定した層内での効果を表す
- adjusted rateから算出される効果は「周辺効果(marginal effect)」であり、共変量の分布全体にわたって平均化された効果を表す
- 数学的には、条件付きオッズ比と周辺オッズ比は一致しない(オッズ比の非折りたたみ性: non-collapsibility)
- アウトカムの頻度が低い(約5%未満の)場合はこの乖離は小さいが、10%を超えると乖離が大きくなる
重み付き推定では、この関係がさらにわかりにくくなる場合がある。重みを用いてロジスティック回帰の係数を推定し、さらに予測値を重みで平均化するという2段階のプロセスが必要であり、どちらか一方だけでは正しい推定対象にならない。
5. ATE、ATT、ATUと因果推論の読み方
5.1 3つの推定量の定義
傾向スコアを用いた因果推論では、効果の推定対象(estimand)を明確に区別することが重要である。
ATE(Average Treatment Effect; 平均処置効果) とは、集団全体に介入(処置)を行った場合と行わなかった場合の差を示す指標である。「もし全員がこの曝露を受けたら、結果はどうなるか」という問いに答える。もっとも一般的に用いられる推定量であり、集団全体を推定対象とする。
ATT(Average Treatment Effect on the Treated; 処置群に対する平均処置効果) とは、実際に介入を受けた人々について、介入がなかった場合と比較した効果を示す指標である。「すでに介入を受けた人にとって、その介入はどれだけ効果があったか」という問いに答える。過去の介入の評価に用いられる。
ATU(Average Treatment Effect on the Untreated; 非処置群に対する平均処置効果) とは、まだ介入を受けていない人々に介入を行った場合の効果を示す指標である。「まだ介入されていない人に将来介入したら、どれだけ効果があるか」という問いに答える。
5.2 政策評価でATUが重要になる理由
政策を実施する場面には、すでに介入を受けた人(ATTの対象)と、まだ介入を受けていない人(ATUの対象)がいる。既存の研究文献はATTに焦点を当てることが多いが、政策担当者が知りたいのは「今後、介入を拡大したらどうなるか」であり、これはATUが答える問いである。
たとえば職場の受動喫煙対策(完全禁煙 vs. 分煙 vs. 対策なし)を考えると、対策をまだ実施していない職場に完全禁煙を導入した場合の効果(ATU)は、すでに対策を実施している職場での効果(ATT)とは一致しない可能性がある。ATUをATTと別に考える意義はここにある。
ATTとATUが大きく異なる場合、それは処置効果が不均一(heterogeneous)であることを意味する。このとき、「どのような特性を持つ人で効果が大きいか」を調べるサブグループ解析が次の研究課題になる。
5.3 IPWによるATE/ATT/ATUの算出
IPWを用いた場合、ATE、ATT、ATUは以下のように算出される。
ATEの場合:
1. ロジスティック回帰などで傾向スコア(曝露を受ける確率)を推定する 2. 曝露群には 1/P、非曝露群には 1/(1−P) の重みを付ける(Pは傾向スコア) 3. この重みを付けた集団では、曝露割り当てが共変量から独立した疑似集団が作られる 4. この疑似集団での曝露群・非曝露群の単純比較が、調整済みの効果(ATE)となる
ATTの場合:
- 曝露群のデータのみを用い、その曝露群の共変量分布を基準として非曝露群を重み付けする
- 曝露群の中で「もし曝露がなかったら」という反事実的なアウトカムを推定し、実際のアウトカムとの差を取る
ATUの場合:
- 非曝露群のデータのみを用い、その非曝露群の共変量分布を基準として曝露群を重み付けする
- 非曝露群の中で「もし曝露があったら」という反事実的なアウトカムを推定し、実際のアウトカムとの差を取る
実装上の注意として、ATUを直接推定する機能がない統計ソフトでは、曝露変数のコーディングを反転(0と1を入れ替える)してATTのオプションを適用すると、ATUを得られる。
5.4 標準化とIPWの等価性
回帰ベースの標準化(G-computation):
1. 回帰モデルを推定する 2. 全員の曝露を1に設定して予測値を計算し、平均を取る 3. 全員の曝露を0に設定して予測値を計算し、平均を取る 4. 差 = 調整済みリスク差、比 = 調整済みリスク比
IPWによる標準化:
1. 傾向スコアを推定する 2. 傾向スコアの逆数で重みを付ける 3. 重み付き集団での曝露群・非曝露群の単純比較 = 調整済み効果
いずれの方法でも「周辺効果(marginal effect)」が得られる。これは、ロジスティック回帰の係数から直接得られる「条件付き効果(conditional effect)」とは異なることに注意が必要である。
5.5 JACSIS/JASTISの文脈での注意点
JACSIS/JASTISの解析では、調査の代表性のための重み(国民生活基礎調査に合わせる重み)と、因果推論のためのIPW重みが同時に存在しうる。以下の3段階のプロセスを意識する必要がある。
1. 重み付きロジスティック回帰を推定する(調査の代表性の重みを用いる) 2. 全員について曝露あり・なしの予測値を計算する 3. 予測値の平均を調査の代表性の重みで計算する(単純な算術平均ではなく、重み付き平均を取る)
3番目のステップを忘れると、最終的なadjusted rateはJACSISサンプルの分布を反映するだけで、日本全体の推定値にはならない。どの集団を推定対象にしているのかを明示しないと解析結果の解釈が曖昧になるため、論文執筆時には特にこの点に注意が必要である。
解析ソフトの違いにも注意しておく必要がある。同じ考え方で解析していても、Stata、R、SASで実装が少し異なれば、推定値や信頼区間がわずかにずれることはありうる。したがって論文では、ソフト名、主要なコマンドやパッケージ、重みを入れた段階、ロバスト分散の扱い、どの集団に対する平均を取ったのかをMethodsに明記した方がよい。研究室内でも、コードを共有しながら同じ結果が得られるかを確認していく姿勢が重要である。
6. キー論文をどう読むか
本章では、JACSIS/JASTIS研究に入る人が読むべき8本のキー論文について、それぞれがなぜ重要なのか、どこを読むべきかを解説する。
6.1 論文1: タバコ値上げと喫煙行動変化
Tabuchi T, et al. Tobacco price increase and smoking behaviour changes in various subgroups: a nationwide longitudinal 7-year follow-up study among a middle-aged Japanese population. Tobacco Control. 2017.
この論文は、中高年者縦断調査(厚生労働省)のデータを用い、2010年のタバコ価格引き上げ(37%の値上げ)が喫煙行動に与えた影響を7年間にわたって追跡した研究である。結果を見るための論文であると同時に、Table 1 や層別の結果をどう示すかを学ぶ論文でもある。
読みどころ:
- 研究デザイン: 50〜59歳のベースライン(2005年)から2012年まで約30,000人を追跡した縦断研究。離散時間デザイン(discrete-time design)を用い、各調査波を分析単位としている
- GEE(一般化推定方程式): 個人内の相関構造を考慮したIPW付きロジスティックGEEを使用。サンドイッチ分散推定量により頑健な標準誤差を得ている
- Table 1 の作り方: 年齢や性別だけでなく、学歴、所得、職業状態などの社会経済的変数を並べ、観察している変化がどの社会経済的な層に出ているのかを可視化する発想が重要である。JACSIS/JASTISでも、記述表は単なる背景説明ではなく、「どの層に影響している研究なのか」を見せる表として作る方がよい
- 主要結果: 値上げのあった2009–2010年の期間は、2008–2009年と比べて禁煙のオッズが2.14倍(95%CI: 1.90–2.41)、再喫煙のオッズが0.60倍(95%CI: 0.46–0.77)であった
- 社会経済層別解析: 学歴、所得、職業状態などで層別した結果、値上げの禁煙促進効果はほぼすべてのサブグループで認められた。学歴や所得で効果が大きくは変わらなかった点も重要である
- Figure 1・2 の見せ方: 禁煙(Figure 1)と再喫煙(Figure 2)について、性別、1日の喫煙本数、年齢、学歴、婚姻状況、等価世帯所得、住居の所有、就業状況、自覚的健康度、飲酒の10変数で層を分けている。各層の値上げ前(2008–2009年)と値上げ後(2009–2010年)の割合を表の形で並べ、その右に値上げ後の調整済みオッズ比と95%CIをフォレストプロットで示している。表だけでも示せる内容をグラフと組み合わせて図にしたことで、どの層でも効果が見られるかを一目で読み取れる。Figure 1 では36の下位集団のうち、95%CIが1をまたいだのは1日31本以上の喫煙者と最近(1年以内)の失業者の2つだけであった。ほかのすべての下位集団で、値上げ後の禁煙のオッズは有意に高かった
- 層の切り方: 一部の変数に絞らず、解析に投入した変数すべてで層を切っている。性別や年齢、社会経済的な層を問わず効果があると示せれば、政策が一部の人だけでなく集団全体に届くことを具体的に述べられ、公衆衛生上の意義が大きい。層別解析は多くの場合すぐに実施できるので、論文を書くときは一度行い、格差の観点からも結果を確認しておくとよい
- 脱落補正: IPWにより各波の非回答を補正。重み付けなしでは喫煙率が低く推定される(24.3% vs 19.5%)ことが示されており、喫煙者の方が脱落しやすいことへの対処の重要性が実証されている
この論文では、GEEの使い方、層別解析の見せ方、IPWによる脱落補正の考え方に加えて、「社会経済的な層を見える形で出してから主解析を読む」という流れを一つの論文の中で確認できる。
6.2 論文2: 親の喫煙と子どもの受動喫煙関連疾患
Tabuchi T, et al. Are secondhand smoke-related diseases of children associated with parental smoking cessation? Determinants of parental smoking cessation in a population-based cohort study. Preventive Medicine. 2015.
この論文は、21世紀出生児縦断調査(厚生労働省、2001年出生コホート)を用い、子どもの受動喫煙関連疾患が親の禁煙を促すかどうかを調べた研究である。
読みどころ:
- 人口ベースコホート: 2001年1月10〜17日および7月10〜17日に生まれたすべての乳児を対象とした出生コホート(ベースライン回答率87.8%、47,015世帯)
- Method(方法)セクションの書き方: 母親と父親を分けて解析したうえで、各特性による禁煙率の差をカイ二乗検定で確認し、その後に単変量解析と多変量解析を配置している。Methodsの組み立てが素直で、研究計画を文章に落とすときの手本になる
- アウトカム頻度が高い場合への対応: 禁煙というアウトカムの頻度が10%を超えるため、McNutt et al.(2003)や Spiegelman and Hertzmark(2005)の議論に沿って、ORではなくPRを出す目的でlog-binomial regressionを用いている。モデルが収束しない場合には、Zou(2004)などで示されているlog-Poisson regressionに切り替え、推定の考え方は一貫させつつ、信頼区間がやや広くなることを踏まえて解釈している
- 非回答補正の書き方: 追跡調査の回答者と非回答者の違いをまずTable S1で確認し、そのうえでTable S1に挙げた共変量を使って非回答を説明するロジスティック回帰モデルを作り、IPWを構成して主結果に用いている。complete-case analysis は補足資料の Tables S2、S3 に回し、共変量と非回答解析の詳細も補足資料に置いている
- 主要結果: 子どもの受動喫煙関連疾患は、多変量調整後には親の禁煙と有意な関連を示さなかった。禁煙の主な決定要因は、1日の喫煙本数の少なさとパートナーの喫煙状態であった
JACSIS/JASTISそのものの論文ではないが、アウトカム頻度が高いときにどのモデルを選び、その理由をどう書くか、さらに非回答補正をどこまでMethodsと補足資料に残すかを学ぶ参照先として有用である。
6.3 論文3c: Go To Travelと重み付き全国推定の実例
Miyawaki A, Tabuchi T, et al. Association between participation in the government subsidy programme for domestic travel and symptoms indicative of COVID-19 infection in Japan: cross-sectional study. BMJ Open. 2021.
ここでの扱い: この論文の主題はGo To Travelキャンペーンへの参加とCOVID-19様症状の関連であり、重み付け手法そのものの論文ではない。本ガイドでは、JACSISの重み付けを使った全国推定の実例として参照する。
読みどころ:
- JACSISの第1波データ(2020年8〜9月、25,482人)を使用した横断研究
- 国民生活基礎調査との比較によるIPWの具体的な適用手順が補足資料に詳述されている
- データの質管理として、不自然な回答パターンを持つ2,518人(1.1%)を除外するアルゴリズムが適用されている
- 感度分析として、東京都居住者の除外、非重み付け解析、地域層別解析など多角的な検証が行われている
- 重み付けに用いた共変量、層別化の方法、標準化の手順が具体的に記載されており、自分の研究でJACSISの重み付けを適用する際の手本となる
JACSISで全国推定を行うときに、重み付けを実際の解析にどう組み込むかを具体的に確認するのに向いている。JACSIS/JASTISでは、重み付けの実装に関わる情報が本文より補足資料にまとまっていることが少なくない。この論文も、重み付けに使った変数、層別化のしかた、感度分析の置き方は補足資料の方が追いやすいので、本文だけでなく補足資料まで確認した方がよい。
6.4 論文4: 電子タバコ・加熱式タバコの認知と使用
Tabuchi T, et al. Awareness and use of electronic cigarettes and heat-not-burn tobacco products in Japan. Addiction. 2016.
読みどころ:
- 2015年のインターネット調査(9,055人)を用い、電子タバコと加熱式タバコの認知率・使用率を推定した、この分野で世界的にも初期の研究
- 2010年国民生活基礎調査を参照としたIPW重み付けの方法と、重み付け前後の属性分布の比較が補足資料に詳述されている
- 重み付け後の推定値: 認知率48.0%、使用経験率6.60%、直近30日間の使用率1.29%
- フォローアップ調査において、追跡回答者の分布をベースライン分布に近づけるよう重み補正を行うことが明記されている。単純なレスポンスレートだけでなく、「誰が残ったか」を補正して見る発想を確認できる
横断時点の代表性補正と、フォローアップ時の分布補正という二つの重み付けを一つの流れで確認できる点に、この論文を参照する価値がある。JACSIS/JASTISでレスポンスレートや追跡時の偏りをどう考えるかを整理したいときは、本文だけで終えず、補足資料まで確認した方がよい。重み付け前後で分布がどう変わったか、追跡時の分布補正をどう見せているかは、補足資料の表の方が分かりやすい。
6.5 論文5: 親の喫煙と子どもの喘息(PAF/PARPの実例)
Tabuchi T, et al. Maternal and paternal indoor or outdoor smoking and the risk of asthma in their children: A nationwide prospective birth cohort study. Drug and Alcohol Dependence. 2015.
この論文は、21世紀出生児縦断調査を用いた前向き出生コホート研究(prospective birth cohort study)であり、47,015世帯の乳児を最長8年間追跡して、親の喫煙場所(屋内 vs 屋外)と子どもの喘息リスクの関連を調べている。
読みどころ:
- PAF/PARPの具体的な計算方法: タバコ対策の視点(never-smokerを参照)と臨床的視点(indoor smokerを参照とし、outdoor smokerへの変更の効果を推定)の2つの視点からPARPが計算されている
- タバコ対策の視点での結果: 両親が屋内喫煙の場合、喘息での入院リスクは1.54倍(0.5〜2.5歳)、1.43倍(2.5〜4.5歳)、1.72倍(4.5〜8歳)。すべての親が禁煙した場合、入院の8.3〜18.2%が防げると推定(PARP)
- 臨床的視点での結果: 屋内喫煙から屋外喫煙に変更した場合の入院リスクの低減は3.7〜0.1%
- 絶対数での提示: PARPを絶対数に換算し、「日本全体で何人の入院が防げるか」を示している。割合だけでは見えにくい影響の大きさを伝えやすい
PAF/PARPは、リスクの大きさだけでなく、その曝露の社会的な広がり(prevalence)も考慮した指標であるため、「問題の大きさ」を伝えるのに適している。
この論文は、関連の有無だけでなく、「その曝露を減らしたら集団全体でどれだけ健康影響を減らせるか」を示す書き方を学ぶのに役立つ。JACSIS/JASTISでも、導出できるテーマであれば、PAF/PARPは解析の早い段階で一度計算してみる前提で考えた方がよい。自分でPAF/PARPを使うつもりなら、補足資料まで見ておくとよい。計算の置き方と結果の出し方は、本文より補足資料の方が追いやすい。
6.6 論文6: 受動喫煙を含めた死亡への影響
Takase M, et al. Has the impact of cigarette smoking on mortality been underestimated by overlooking second-hand smoke? Tohoku medical megabank community-based cohort study. BMJ Public Health. 2024.
この論文は、東北メディカル・メガバンク計画のコミュニティベースコホート(40,796人、中央値6.5年追跡)を用い、能動喫煙に受動喫煙(secondhand smoke; SHS)を加えた場合に、PAFがどれだけ変わるかを検討した研究である。
読みどころ:
- 曝露分類: 能動喫煙(never/ex/current)と受動喫煙(SHS曝露の有無・時間)を組み合わせた10カテゴリーの分類を用いている
- 男性では、能動喫煙のみのPAFが28.0%であったのに対し、受動喫煙を加えると31.3%に増加した(+3.3ポイント)。女性では2.3%から8.4%に増加した(+6.1ポイント)。特に女性では、非喫煙者の受動喫煙曝露がPAFの大部分を占める
- 従来の研究は能動喫煙のみでPAFを算出していたが、受動喫煙を含めると死亡への影響の見積もりが変わることを示し、過小評価を指摘した
- 受動喫煙まで含めて曝露を整理すると、誰にどの介入が必要かをより細かく考えやすくなる。能動喫煙の有無だけでなく、行動と曝露環境を組み合わせて層を切る発想は、precision behavior scienceにも通じる
能動喫煙だけでは拾えない健康影響を、受動喫煙まで含めて見直す必要があることが分かる。
6.7 論文7: タバコ対策と社会経済格差のレビュー
Tabuchi T, et al. Tobacco Control Measures to Reduce Socioeconomic Inequality in Smoking: The Necessity, Time-Course Perspective, and Future Implications. Journal of Epidemiology. 2017.
この論文は、タバコ対策研究の全体像を俯瞰するナラティブレビューである。
読みどころ:
- 時間経過の視点(time-course perspective): タバコ対策の介入直後には、社会経済的に恵まれた層ほど先に効果を受け取るため、一時的に格差が拡大して見える場合がある。これは「格差のパラドックス(inequality paradox)」または「逆進的格差推移仮説(inverse equity hypothesis)」と呼ばれる。しかし、長期的に介入を継続すれば、不利な層にも効果が浸透し、最終的には格差が縮小する
- Figure 2のモデル: 介入なしでは格差が拡大し続けるが、介入ありでは早期に一時的拡大が起こった後、長期的に縮小するという時間軸のモデルが示されている
- Equity Effectiveness Loop(Figure 3): モニタリング → 評価 → 経済評価 → 知識の翻訳 → 再評価 → 長期政策という循環的な評価モデルが提案されている
- 日本の位置づけ: 2010年時点の日本は「介入の早期段階」にとどまっており、格差縮小には長期的・継続的な対策が不可欠であると指摘されている
- タバコ対策の効果や格差の動きは、同じ時間軸、同じ層別、同じ尺度で並べてはじめて比較しやすくなる。対策指標と参照指標を別々の見せ方で出すと、格差が広がっているのか、浸透の途中なのかを見誤りやすい
- タバコ対策は介入研究の蓄積が多く、格差評価の枠組みも整理されている。このため、アルコールやギャンブルなど他の健康問題を考える際の参照枠にもなる
この論文は、個別の結果を追うためというより、JACSIS/JASTIS全体をどの問題意識で読み、どのような形で可視化し続けるかを整えるために読む。
6.8 論文8: がんサバイバーの喫煙と二次がんリスク
Tabuchi T, et al. Tobacco smoking and the risk of subsequent primary cancer among cancer survivors: a retrospective cohort study. Annals of Oncology. 2013.
この論文は、大阪がんセンターの院内がん登録データと大阪府がん登録のリンケージを用い、がんサバイバーにおける喫煙と二次原発がん(subsequent primary cancer; SPC)のリスクを後ろ向きコホート研究(retrospective cohort study)として調べたものである。
読みどころ: 公衆衛生の視点と臨床の視点の違い
この論文の最大の特徴は、同じデータセットを2つの異なる視点から解析していることである。
公衆衛生的視点(Tobacco Control Perspective):
- 参照カテゴリー: 非喫煙者(never-smoker)
- 問い: 「喫煙経験者(ever-smoker)や現在喫煙者(current smoker)は、非喫煙者と比べて二次がんリスクが高いか?」
- 意味: 「人々はそもそも喫煙すべきではない」という予防のメッセージを支持するエビデンス
- 結果: 喫煙経験者は非喫煙者と比較して、喫煙関連がんの二次発症リスクが有意に上昇していた
臨床的視点(Clinical Perspective):
- 参照カテゴリー: 現在喫煙者(current smoker)
- 問い: 「がん診断時に喫煙していた人が禁煙した場合、二次がんリスクは下がるか?」
- 意味: 「今喫煙している患者に対して、禁煙を勧めることに臨床的な意味があるか」を検証するエビデンス
- 結果: 最近の禁煙者(recent quitter)は現在喫煙者と比較して、二次がんリスクが有意に低かった
参照カテゴリーの違いが意味すること:
公衆衛生的視点では、非喫煙者を基準にすることで「喫煙がどれだけ害をもたらすか」を示す。臨床的視点では、現在喫煙者を基準にすることで「禁煙がどれだけ利益をもたらすか」を示す。同じデータでも、参照カテゴリーの置き方によって、予防の論文にも臨床応用の論文にもなりうる。
問いの立て方と参照カテゴリーの置き方で、同じデータから違うメッセージが引き出されることを具体的に学べる。
7. この研究に入る人向けの読み進め方
JACSIS/JASTIS研究にこれから参加する人には、以下の順序で文献を読み進めることを推奨する。
ステップ1: 調査の全体像をつかむ
まず、JACSIS/JASTISがどのような調査であるかを理解する。
- JACSISプロファイル論文(Someko et al., IJE, 2026)を読み、調査の設計、対象者、サンプルサイズ、調査波の概要を把握する
- JASTISプロファイル論文(Tabuchi et al., JE, 2019)を読み、JASTISの独自性(タバコに特化した縦断コホート)と、JACSISとの関係を理解する
- JACSISプロファイル論文の補足資料(Supplement)を読み、重み付けの具体的な手順と変数を確認する。JACSISの重み付けを理解するうえで、ここは飛ばさない方がよい
ステップ2: 基本的な方法論を学ぶ
次に、この研究で頻出する方法論を学ぶ。
- 論文1(タバコ値上げ)を読み、縦断研究、GEE、IPWによる脱落補正、社会経済層別解析の一連の流れを理解する。層別の結果を表とフォレストプロットで示した Figure 1・2 も確認する
- 論文2(親の喫煙と禁煙)を読み、コホート研究のMethodセクションの書き方を参考にする
- 論文3c(Go To Travel)の補足資料を読み、JACSISでの重み付けの具体的な適用方法を確認する。本文だけよりも補足資料の方が手順を追いやすい
ステップ3: adjusted rateと因果推論を理解する
方法論の基礎を押さえたら、より発展的なトピックに進む。
- 論文4(電子タバコ・加熱式タバコ)を読み、重み付けとadjusted rateの実例を確認する。分布補正の見え方は補足資料まで見ると理解しやすい
- 4章と5章を往復して読み、adjusted rate、ATE、ATT、ATU がそれぞれ何を平均し、どの集団に対する推定なのかを整理する
ステップ4: 応用的な視点を身につける
最後に、研究の読み方そのものに関わる視点を押さえる。
- 論文5(親の喫煙と子どもの喘息)を読み、PAF/PARPの計算方法と、タバコ対策の視点・臨床的視点の使い分けを学ぶ。計算の流れは補足資料まで見ておくとよい
- 論文6(受動喫煙と死亡)を読み、受動喫煙を含めた包括的な評価と、PAFが増加するメカニズムを理解する
- 論文7(格差のレビュー)を読み、短期的な格差拡大と長期的な格差縮小という時間経過の視点を身につける。格差は追加解析ではなく、最初から見ておくべき論点だと理解すると読みやすい
- 論文8(がんサバイバーの喫煙)を読み、同一データから公衆衛生的視点と臨床的視点の両方を引き出すアプローチを学ぶ
補足: デフォルトで行うべき分析
分析の段階では、以下の要素をいったん含めておき、論文に掲載するかどうかは後で判断するとよい。
- 共変量(デフォルトセット): 性別、年齢階級、学歴、婚姻状態、等価世帯所得、職業状態、自覚的健康度、合併症、精神的健康状態、喫煙頻度、飲酒状況
- PAF/PARPの算出: 主要な曝露についてPAFを計算し、社会的インパクトを数値化する
- 層別解析: 社会経済層別(学歴、所得など)でのサブグループ解析を行い、すべてのサブグループで効果があることを確認する
- 格差の視点: 研究結果が社会経済的格差にどのような含意を持つかを最初から検討する
新しい研究課題を立てるときは、まず既存論文のどの型に近いかを決め、そのうえで地域指標や政策指標などの外部データを結合していくと整理しやすい。JACSIS/JASTISは質問票データをそのまま読むだけでなく、外部情報を加えることで問いを広げやすい。
8. 論文を書くときに大事にしてほしいこと
ここからは、研究に入る人に向けた実務上のメッセージをまとめる。個別論文を読むことも大事だが、それ以上に「どういう発想で次の論文を書くか」を共有しておく必要がある。
8.1 問いの型から研究課題を考える
JACSIS/JASTISで研究を始めるときは、変数を眺めて面白そうな関連を探すより先に、問いの型を決めた方がよい。たとえば、全国推定を出したいのか、縦断で変化を見たいのか、政策評価をしたいのか、臨床的な示唆を出したいのかで、使う論文の型もMethodsの書き方も変わる。
とくにCOVID-19以後の研究では、流行前の社会と今の社会が連続していると自動的には考えない方がよい。働き方、受診行動、外出行動、家族介護、社会的孤立など、多くの領域で前提が変わっている可能性がある。過去データを使うときは、比較対象として本当に妥当かを最初に点検しておく必要がある。
また、質問票の中だけで問いを閉じない方がよい。地域特性、政策指標、市場データ、外部のカテゴリーデータなどを結合すると、同じJACSIS/JASTISでも問いの立て方が広がる。研究を組み立てるときは、「この質問票変数に何を足せば社会的な文脈が見えるか」を考える姿勢が大切である。
8.2 まず作るべきテーブル
論文を書くときは、主結果だけの表を一つ作って終わりにしない方がよい。とくに Table 1 は単なる背景説明ではなく、「この現象がどの層に出ているか」を見せるための表として作った方がよい。最初の段階で、少なくとも次のテーブルを作ることを勧めたい。
1. Table 1としての解析対象の記述表 2. 主解析の表 3. 社会属性や健康属性による層別表 4. 必要なら絶対指標の表
記述表では、重み付けの有無で対象の分布がどの程度違うかを確認しておく。全国推定を扱う研究では、ここを曖昧にすると後の解釈が不安定になる。年齢や性別だけでなく、学歴、所得、就業状況、婚姻状況、地域、健康状態、喫煙、飲酒など、社会経済的変数と健康関連変数を並べておくと、観察している曝露やアウトカムがどの層に多いかを早い段階でつかみやすい。
主解析の表では、オッズ比や回帰係数だけでなく、可能ならadjusted rateやリスク差も並べておきたい。相対指標だけでは効果の大きさがつかみにくい。絶対指標を出しておくと、政策や実務の文脈で読みやすくなる。
層別表は、JACSIS/JASTISでほぼデフォルトと考えてよい。性別、年齢階級、学歴、所得、婚姻状況、就業状況、喫煙頻度、飲酒、健康状態、メンタルヘルス、持病の有無など、主解析の共変量に入れた変数は、そのまま層別の候補になることが多い。どの層でも同じ方向の効果が出るのか、特定の層で差が大きいのかを見ること自体が、論文のメッセージになる。論文1の Figure 1 のように、層ごとの割合と調整済みオッズ比を表とフォレストプロットで一緒に示すと、読み手が層ごとの違いを比べやすい。
すべての層でほぼ同じ効果が出るなら、その介入や曝露は幅広い人に関係すると読める。逆に特定の層で差が大きいなら、それは次の研究課題であり、より個別化した介入を考える出発点になる。
8.3 研究計画の段階から入れる格差の視点
格差の視点は、Discussionで少し触れるだけでは弱い。学歴、所得、就業、婚姻、介護、地域差などの社会的条件が結果にどう関わるかは、研究計画の段階から組み込んでおく方がよい。
論文7が示すように、介入直後にはむしろ格差が広がって見えることがある。したがって、ある対策が短期的に不均一な効果を示したとしても、それだけで無効とは言えない。どの時点で、どの層に、どのような差が出ているのかを、時間軸を含めて見る必要がある。
JACSIS/JASTISの研究では、格差は「余裕があれば見る」論点ではない。どの研究でも一度は確認しておくべき観点として扱った方がよい。
8.4 PAF、PARP、絶対数を早めに確認する
曝露とアウトカムの関連が出たら、次に考えるべきは「この問題は集団全体でどれくらい大きいか」である。ここで役立つのがPAFやPARPである。
PAF/PARPは、論文に最終的に載せるかどうかを後で決めるとしても、導出できるテーマなら解析段階で一度は計算してみる方がよい。相対リスクが大きくても曝露人口が少なければ集団全体への影響は限られるし、逆に効果量が中程度でも曝露人口が多ければ公衆衛生上の意味は大きい。
さらに、割合だけでなく絶対数まで出せると説得力が増す。何%減るかだけでなく、何人、何件、どれだけの受診や入院が減るかを示せると、Discussionの書き方が変わる。社会的意義を論じるときは、この絶対数の感覚を持っておいた方がよい。
8.5 補足資料の読み方
JACSIS/JASTISでは、補足資料を読まないと把握しきれない部分がある。とくにプロファイル論文、Go To Travel論文、電子タバコ論文、PAF/PARPの論文では、重み付けに使った変数、追跡時の分布補正、非回答解析、complete-case analysis の置き方が、本文より補足資料に整理されていることが多い。
本文だけを読んでいると、結果と結論は追えても、なぜその推定が成り立つのかまでは分からないことが多い。どの変数で重みを作ったのか、感度分析をどう置いたのか、分布がどの程度補正されたのか、PAF/PARPをどう計算したのか、アウトカム頻度が高い場面でなぜPR系モデルを選んだのかは、補足資料まで見てはじめて理解しやすくなる。JACSIS/JASTISの論文は、補足資料まで含めて読んではじめて再現可能な形になる。
8.6 Methodsに必ず残してほしいこと
Methodsでは、一般的な回帰モデル名だけを書いて終わらせない方がよい。少なくとも、次の点は明記しておきたい。
1. どの波の、どの対象者を使ったか 2. どの除外基準を使ったか 3. どの重みを使ったか 4. 重みを解析のどの段階で使ったか 5. adjusted rateやATE/ATT/ATUで、どの集団に対する平均を取ったか 6. アウトカム頻度が高い場合に、なぜORではなくPR系モデルを選んだか 7. 使用したソフト、主要なパッケージやコマンド、分散推定の扱い
同じ解析でも、ソフトやパッケージが違えば細部がずれることがある。だからこそ、Methodsは再現できる程度に具体的に書いた方がよい。論文2のように、アウトカム頻度が高いので log-binomial regression を使い、収束しない場合は log-Poisson regression に切り替えたこと、非回答補正のためにどの共変量でIPWを作ったか、complete-case analysis をどこに置いたかまで残しておくと、読み手にも共同研究者にも伝わりやすい。研究室内でも、コードや出力を共有して、ほぼ同じ結果が得られるかを確認しながら進める姿勢が望ましい。
8.7 Discussionで示す研究の届け先
Discussionでは、統計学的に関連があったかどうかだけで終わらせない方がよい。その結果が、政策に向けたメッセージなのか、臨床現場に向けたメッセージなのか、あるいは次の介入設計に向けたメッセージなのかを明確にしたい。
同じデータでも、公衆衛生の問いと臨床の問いでは結論の出し方が違う。非喫煙者を基準にすれば予防の話になり、現在喫煙者を基準にすれば禁煙支援の話になる。ATUを見れば、まだ介入されていない人に介入したときの効果を考えやすい。adjusted rateを出せば、何%の差なのかを読み手に伝えやすい。Discussionでは、どの読み方を採っているかを意識的に選ぶ必要がある。
JACSIS/JASTISで論文を書くときは、相対指標、絶対指標、格差、対象集団、社会への返し方を一緒に考える方が、強い原稿になりやすい。
9. 参照論文
以下に、本ガイドで参照した論文について、読む理由とDOIをまとめる。
論文1: タバコ値上げと喫煙行動変化
- タイトル: Tobacco price increase and smoking behaviour changes in various subgroups: a nationwide longitudinal 7-year follow-up study among a middle-aged Japanese population
- 読む理由: 縦断解析、GEE、脱落補正に加え、Table 1 と層別の結果で社会経済的な層をどう見せるかの型をまとめて確認できる。全下位集団の結果を表とフォレストプロットで1枚に示した Figure 1・2 は、層別解析の示し方の手本になる。
- DOI: 10.1136/tobaccocontrol-2015-052804
論文2: 親の喫煙と子どもの受動喫煙関連疾患
- タイトル: Are secondhand smoke-related diseases of children associated with parental smoking cessation? Determinants of parental smoking cessation in a population-based cohort study
- 読む理由: アウトカム頻度が高い場面でPR系モデルをどう選び、非回答補正をどうMethodsと補足資料に残すかを学ぶ手本になる。
- DOI: 10.1016/j.ypmed.2015.01.028
論文3a: JACSISプロファイル論文
- タイトル: Data Resource Profile: The Japan COVID-19 and Society Internet Survey (JACSIS)
- 読む理由: JACSISの設計、調査波、参加者構成、重み付けの基礎がまとまっており、個別論文に入る前の前提整理になる。
- 補足: 重み付けの手順は補足資料まで確認する。
- DOI: 10.1093/ije/dyag025
論文3b: JASTISプロファイル論文
- タイトル: Study Profile: The Japan "Society and New Tobacco" Internet Survey (JASTIS): A Longitudinal Internet Cohort Study of Heat-Not-Burn Tobacco Products, Electronic Cigarettes, and Conventional Tobacco Products in Japan
- 読む理由: JASTISのコホート構成と追跡の考え方を理解でき、JACSIS以前から続くタバコ研究の流れが見える。
- DOI: 10.2188/jea.JE20180116
論文3c: Go To TravelとCOVID-19
- タイトル: Association between participation in the government subsidy programme for domestic travel and symptoms indicative of COVID-19 infection in Japan: cross-sectional study
- 読む理由: 論文の主題自体はGo To Travelだが、JACSISで全国推定を行う際の重み付けの実装を、補足資料を含めて具体的に学べる。
- 補足: 重み付けの変数と感度分析は補足資料まで確認する。
- DOI: 10.1136/bmjopen-2021-049069
論文4: 電子タバコ・加熱式タバコの認知と使用
- タイトル: Awareness and use of electronic cigarettes and heat-not-burn tobacco products in Japan
- 読む理由: 横断時点の代表性補正と、追跡時の分布補正、レスポンスレートの見方を一つの流れで確認できる。
- 補足: 分布補正の見え方は補足資料の表まで確認する。
- DOI: 10.1111/add.13231
論文5: 親の喫煙と子どもの喘息
- タイトル: Maternal and paternal indoor or outdoor smoking and the risk of asthma in their children: A nationwide prospective birth cohort study
- 読む理由: PAF/PARPをまず導出し、関連の有無だけでなく、公衆衛生上の影響の大きさをどう示すかを学べる。
- 補足: PAF/PARPを使うなら補足資料まで見て計算の置き方を確認する。
- DOI: 10.1016/j.drugalcdep.2014.12.001
論文6: 受動喫煙と死亡への影響
- タイトル: Has the impact of cigarette smoking on mortality been underestimated by overlooking second-hand smoke? Tohoku medical megabank community-based cohort study
- 読む理由: 能動喫煙だけでは拾えない健康影響を、受動喫煙まで含めて見直す必要と、より精緻な曝露分類の発想を学べる。
- DOI: 10.1136/bmjph-2024-001746
論文7: タバコ対策と社会経済格差のレビュー
- タイトル: Tobacco Control Measures to Reduce Socioeconomic Inequality in Smoking: The Necessity, Time-Course Perspective, and Future Implications
- 読む理由: 個別の結果を追うためではなく、格差を同じ尺度と時間軸でどう可視化し、JACSIS/JASTIS全体をどの問題意識で読むかを整えるために役立つ。
- DOI: 10.2188/jea.JE20160206
論文8: がんサバイバーの喫煙と二次がんリスク
- タイトル: Tobacco smoking and the risk of subsequent primary cancer among cancer survivors: a retrospective cohort study
- 読む理由: 同じデータでも、参照カテゴリーの置き方によって予防の論文にも臨床応用の論文にもなりうることが分かる。
- DOI: 10.1093/annonc/mdt279
注意
- 分類は機械判定が中心のため、誤りを含むことがあります。引用や判断の前に原著で確認してください。
- 矢印は解析された組合せを示し、因果関係を意味するものではありません。空欄は該当する研究が存在しないことを意味しません。
- 質問項目から論文へのリンクは、該当論文がその質問項目を使用したことを確認したものではありません。